■展覧会の趣旨
山城国紀伊郡東九条村は、JR京都駅から南に広がっていた農村で、平安時代より九条家の荘園でした。
その地にある長谷川家は、江戸期には庭田家の家来(郷士)でした。郷士とは、武士としての格式が認められていた百姓という身分のことです。享保期にはこの地域の庄屋を務めていました。
現在国の登録有形文化財に指定されている長谷川家住宅は、今から約280年前(寛保2〈1742〉年8月)、初代半助によって築造された農家住宅で、江戸期を通じて収集・保存されてきた書籍、文書、地図等が多数残されています。その中に、第9代当主長谷川軍記(1822~71)が記した日記(弘化2年~明治4年)が27冊残っています。これが「長谷川軍記日記」です。
日記には領主や公家とのつきあいや交渉、村の中での事件処理など、いろいろな事柄が書かれています。近代の日記とは違い、書いた人の心の中はいっさい書かれておらず、その意味では公人としての日記だと言ってよいでしょう。この日記を素材として、洛南農村のくらしを知る手掛かりにすることが本展の開催趣旨です。
本展では、日記に書かれた19世紀の京都近郊農村の、1激変・激動する社会状況、2人々のくらしぶりの変化を紹介し、あわせて長谷川家に残されている文書、地図、書籍等を展示します。
■展覧会概要
期間:2018年9月1日-12月2日の期間の土曜・日曜・祝日
※開催期間中の土・日・祝のみ開館します。
時間:10:00-16:00
入館料:800円(高校生は500円、中学以下無料)
主催:長谷川 歴史・文化・交流の家
協力:NPO法人古材文化の会
後援:後援:農林水産省近畿農政局、京都府、京都府教育委員会、京都市、京都市南区陶化学区自治連合会、(公財)京都市景観・まちづくりセンター、(公社)京都府観光連盟、(公社)京都市観光協会、朝日新聞京都総局、毎日新聞京都支局、京都新聞、京都リビング新聞、NHK京都放送局、NHK文化センター京都支社
■講演会
※聴講無料(本展覧会の観覧券が必要です)
伊東宗裕先生(本展監修)と田中和久先生(農業自営)による講
演会を開催します。聴講料は無料ですが、入館料が必要です。
<日時>いずれも14時から開催
・9月9日(日)「東九条村と軍記日記」ー伊東宗裕先生
・10月14日(日)「軍記さんの日常と生活」ー伊東宗裕先生
・10月20日(土)「洛南の農業・農村と暮らし」ー田中和久先生
・11月11日(日)「蛤御門の変と東九条村」ー伊東宗裕先生
<監修者紹介>
伊東宗裕(いとう むねひろ)
1951年福岡県生まれ。立命館大学大学院修士課程修了。
京都市歴史資料館に勤務し2016年退職。佛教大学・立命館大学の非常勤講師。
NHK文化センターカルチャー(京都・神戸両教室)で古地図を中心に講演中。